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今朝は銀三達の気配がいつもと違い、すでに遠くでけたたましく吠えている。
急いで行くと罠にかかった子供のイノシシが2匹、檻の中から怯えながらも必死に 抵抗していた。 近づくとイノシシ特有の臭いが鼻をつく。 朝吉は初めての体験で、檻から少し距離を置いたところで背中の毛を逆立てている。 銀三と小春は格子の中まで鼻先を入れ威嚇し続け、何度も呼び戻すが離れようとしない。 以前近所で捕獲されたイノシシの処分を手伝ったことがあるが、最後の断末魔の叫びには 有害鳥獣指定動物とはいえ、生き物の命に対し複雑な気持ちになる。 しかし誰かがこの嫌な役割を引き受けないと、農作物の被害は増加する一方だが、 自分としては遠慮したい作業である。 山や森林の開発が進み、イノシシの食料に なる木の実などが減少し、田畑を荒らすようになったという話をきくと、人間にもやはり 少なからず一因があるような気もする。 |